融雪方式

屋根雪を融解させて雪荷重を軽減する方式です(図)。この方式だけが他の方式と違ってランニングコストがかかります。融解する熱源には石油ボイラー、電気、地下水、太陽エネルギーなどがあります(十日町市、1991)。石油を使うのが最も普及しています。電気は料金の安い夜間電力を有効に利用します。太陽エネルギーはまだ部分的に使われている程度です。北陸地方の豪雪地である十日町市の場合でも、住宅の耐雪荷重を400kg/m2、融雪能力を86W/m2(ただし融雪効率を90%とした場合)とすれば、過去30年間の最大の豪雪時にも耐えられることが分かっています(木村、1997)。いずれにしても、均等に解かして屋根雪底部に空洞ができないようにしないと、融雪効率が低下します。また、全部の屋根雪を解かしきる必要はなく、むしろ少し残すくらいのほうが融雪効率は上がります。
融雪方式の屋根の構造
屋根面に電気ヒーターや中に熱媒を通す循環パイプなどの発熱体を敷設して屋根雪を融解させる方式。効率よく運転するために、気温センサーや降雪センサーを組み合わせて自動制御することが多い。
融雪方式とした場合のひと冬の屋根雪荷重の推移を試算した結果
融雪方式とした場合のひと冬の屋根雪荷重の推移を試算した結果です。ただしこれは、1985/86年冬の新庄に当てはめた場合です。屋根雪荷重は最大でも130kg/㎡であり、融雪能力30W/㎡と少な目にしても耐雪荷重の300kg/㎡を十分下回っています(ただし、何のトラブルもなく経過した場合)。なお、計算条件については応用編の付録で詳しく述べてあります。


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