自然滑落方式

斜した屋根にして雪を自然に滑落させて雪荷重を軽減する方式です。省エネルギーという観点で優れています。ただ、軒下に落ちた屋根雪の堆積スペースを確保する必要があります。また、2階建ての屋根の場合は、屋根雪が落ちるときに庇から大きく飛び出すことがあるので注意する必要があります(図)。隣家や道路に落雪する恐れがある場合はフェンスなどでくい止める必要があります。落雪の下敷きになって生命を無くす事故があとを絶ちません。真冬日(最高気温が氷点下の日)が続くと、屋根雪が凍着してなかなか滑落しません。気温が+2℃になれば大抵滑落するという観察例があります(中村、1977)。なお、最近は雪の滑りやすい屋根材料が開発されています。
自然滑落方式の屋根の高さと落雪の範囲
屋根に勾配をつけて屋根雪を滑落させる方式。平屋の場合(左)は、庇の直ぐ下に落雪するものがほとんどです(中村、1978)。その代わり窓ガラスに雪囲いが必要です。一方、2階建ての場合(右)は、屋根雪がかなり遠くまで飛び出す危険性があります。ここでの計算結果は最悪のケースを考えた場合です。


自然滑落方式とした場合のひと冬の屋根雪荷重の推移を試算した結果
自然滑落方式とした場合のひと冬の屋根雪荷重の推移を試算した結果です。ただしこれは、1985/86年冬の新庄に当てはめた場合です。屋根雪荷重は最大でも180kg/㎡であり、この冬は耐雪荷重の300kg/㎡を下回っています。なお、計算条件については応用編の付録で詳しく述べてあります。