付録 屋根雪荷重の推移の算定条件と計算結果の評価

基本編で述べた屋根雪荷重の算定条件とその評価について述べておきます。なぜならば、住宅を設計する段階になれば、この問題は避けて通れないからです。

算定条件

耐雪荷重を求める際の最大積雪深は、耐雪方式では100年再現値である2.5m、その他では1.0mとしました。また、その平均密度は300kg/m3としました。

共通データ

  1. 新庄の1985年12月15日から翌年3月5日までの気象・降積雪データとします(阿部他、1996)。
  2. 屋根には地上と同様の雪が積もるものとします。

計算結果の評価

計算結果はあくまでも仮定の上でのものなので、予期しないことが起こる可能性はありますが、参考のため各屋根雪処理法の評価を行ってみます

( 1 ) 耐雪方式

算定条件

  1. 耐雪荷重は750kg/m2とします。

計算結果の評価

屋根雪荷重は最大でも3月5日の610kg/m2であり、耐雪荷重の750kg/m2を超えていないので、この冬は屋根雪処理は全く不要となっています。

( 2 ) 融雪方式

算定条件

  1. 耐雪荷重は300kg/m2とします。
  2. 融雪能力は30W/m2とします。
  3. 融雪効率は80%とします。
  4. 雪の温度は常に0℃とします。

計算結果の評価

屋根雪荷重は最大でも130kg/m2であり、融雪能力30W/m2と少な目にしても耐雪荷重の300kg/m2を十分下回っています。ただし、何のトラブルもなく経過した場合のことであり、実際には途中融雪できない場合がありうると考えた方がよいでしょう。また、雪の温度を0℃としましたが、実際には氷点下の場合がほとんどなので、融雪装置にとっては有利になっています。

( 3 ) 自然滑落方式

算定条件

  1. 耐雪荷重は300kg/m2とします。
  2. 最高気温が+2℃を超えた日に滑落するものとします。

計算結果の評価

屋根雪荷重は最大でも180kg/m2であり、この冬は耐雪荷重の300kg/m2を下回っています。最高気温が+2℃を超えた日に滑落するものとしましたが、この設定は厳しすぎるかも知れません。

( 4 ) 雪下ろし方式

算定条件

  1. 耐雪荷重は300kg/m2とします。
  2. 屋根雪荷重が200kg/m2超えた日に雪下ろしを行うものとします。

計算結果の評価

屋根雪荷重が200kg/m2超えた日に雪下ろしを行うものとしたので、この冬は2回の雪下ろしをする必要がありました。