現状把握

(1) 問題点

一般住民が屋根雪処理の問題につきあたる原因として、次の3つがあげられます。
  1. 施工主の関心が薄い。
  2. 工務店が屋根雪処理の専門的知識を持っていない。
  3. 行政のチェック機構が働かない。
1)は忙しいとつい工務店任せになってしまう、2)は工務店側が住宅の外見だけを重視して屋根雪処理のことをおろそかにしている、3)は行政の担当者は屋根雪処理まではチェックできない、という点があげられます。要するに一番困るのはその家に住む人なのですから、現状では自らの責任においてもっと真剣に考える必要があるということです。

(2) 家族構成と住宅

住宅は家族構成によって変化します。当たり前のことですが、意外と忘れられていることがあります。例えば、息子夫婦が同居するものとして建てた大邸宅に、老父婦だけで暮らすはめになり、屋根雪処理に困っているという話がありました。このように、家を建てるときは家族の将来設計も考慮する必要があります。

(3) 高齢化と住宅

高齢化社会は着実に進行しつつあります。そうしたときに、体力のない高齢者が雪かきをするのは大変です。できるだけ人力で雪処理をしなくとも済むような住宅にしておく必要があります。また、寝たきり老人のデイケアサービスを受けるような場合には、玄関の出入りを容易にしておく必要があります。

(4) 高床式住宅

高床式住宅は、雪国の生活形態を変えてしまうほど画期的な住宅です。しかし、問題点がないとはいえません(沼野、1991)。また、中には高床式住宅の長所を殺してしまうような住宅の配置を見受けることもあります。そこでいま一度、高床式住宅の長所、短所を考え直してみる必要がありそうです。

高床式住宅の長所と短所

長所

  1. 軒下落雪の処理が容易なこと
  2. 収納スペースを確保できること
  3. 室内が明るくなること

短所

  1. 出入りがおっくうになること
  2. 落雪の恐怖感があること